蕎麦の香りを最大限に引き出すため、十割は蕎麦粉と水のみ!
当店の十割そばは蕎麦粉と水のみで打っています。
十割そばはつながりにくいので、湯捏ねといって沸騰したお湯で打っている店もあります。
十割そばの打ち方を紹介している本やサイトも湯捏ねが多いです。この手法はお湯の力で蕎麦のでんぷんを糊化させてつなごうというもの。お湯だとでんぷんは粘りが出てつながりやすくなりますが、蕎麦の香りも飛びやすくなるという弱点があります。
水のみでつなげるのはお湯よりも断然難しくなりますが、僕は清涼感ある蕎麦の香りがおいしさの要だと思っているので、十割は水のみで打っています。水でつなぐコツは、石臼でゆっくりと低速で挽いた蕎麦粉としっかりした水回し・捏ねの作業です。
当店は店内の電動石臼で一番低速に設定して蕎麦粉を挽いています。
蕎麦粉屋さんで購入した蕎麦粉で打とうと思った場合、石臼挽きの蕎麦粉を購入しても、生産量の関係で当店の電動石臼の速度より全然早いので、水でつなげるのは難しいかもしれません。また、蕎麦粉屋さんは注文してから店に蕎麦粉が届くまで何日か掛かるので蕎麦粉が劣化してしまいます。ロール製粉機で挽いた機械挽きの蕎麦粉の場合は、湯捏ねでも十割は厳しいです。
御前粉はほとんど香りがないので湯捏ねでOK
御前粉で打つ更科蕎麦や御前粉に味や香りを加える変わり蕎麦は僕も湯捏ねで打っています。
御前粉自体は香りはほとんどなく、ほのかな甘みやしゃっきりとした食感を楽しむ蕎麦なので湯捏ねで打ちます。
変わり蕎麦は、これから桜の季節なので3月上旬あたりから御前粉を使って桜切りそばを打つ予定です。
下の写真は昨年の桜の時期に打った桜切りです。
当店では、天然色素の紅麹でほんのりピンクに染めて、細かく刻んだ桜の葉を練りこんでます。
赤色xxx号を使った方が簡単にもっと濃いピンクになるのですが、普段店で使う食材は『自分の子供にも安心して食べさせられる安全でおいしいもの』をベースに考えているので、赤色xxx号系は使っていません。着色料が気になって食べなかった方は安心してチャレンジしてみてください。